ロックにしやがれ❗

悪魔と取引して、ロックに魂を売った伝説のロッカー達の魂の一曲を「ロックにしやがれ❗」という感じで、割りと冷静に発表しています。

【 ジョニー・サンダース 】 ~悪魔と取引した魂のギターリスト ~

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ジョニー・サンダース
~悪魔と取引した魂のギターリスト ~

元ニューヨーク・ドールスのギターリスト、ジョニー・サンダース
1985年、田舎者だった小生が、初めて観に行ったライヴがジョニーだった。
その日、会場だった大阪の御堂会館は異様な雰囲気に包まれていた。
通路という通路を、鉄格子を構えて塞ぐ物々しい警備の中、革ジャンを着込んだ多数のパンク関係者が集結し、開演前から、ただならぬ空気が漂っていた。
開演時間を過ぎて、暫くすると、突然、けたたましいギターが会場に鳴り響く。ジョニーのレスポールJr. が魂のギターを奏で始める。
その瞬間、まるで会場のあちこちで、ショックで感電したような叫び声があがる。その声を更に掻き消すように、ジョニーのドライヴしたギターが、洪水のように押し寄せる。
「これがドールスの伝説のギターなのか‼」と一瞬に鳥肌が立った。
悪魔と取引して、ロックに魂を売った男は、本物のロックという夢を魅せてくれた。
そして、忘れられないあの瞬間…。
ラストナンバーの『Born to lose 』のギターが会場を撃ち抜いた…その時だった。
厳重な警備で身動きができず、ずっとフラストレーションがたまっていた観客が、客席の上を走り出し、一斉にステージに向かって押し寄せたのである。
揉みくちゃになっているステージの前では、観客が警備員と殴り合っている。
ジョニーのギターに点火され、爆発したパンクス達の暴動で、最早、危険な程の緊迫感が会場を支配していた。
『Born to lose 』が終わると、ジョニーは、立て続けに魂のギターを弾き始める。
『Pipeline 』
スリリングなギターが、トランス状態の会場に、更に怒濤のように押し寄せる。
ジョニーは、そのままステージサイドに置かれた、2メートル近く高さのある巨大なスピーカーの上に駆け上がり、仁王立ちになって『Pipeline 』を弾き続け、最後まで観客を煽り続けていた。

1991年、作家の山川健一さんのバンド、ザ・ルーディが日比谷の野音で企画したライヴに、忌野清志郎さんがゲストで出演していた。
誰がカバやねんロックンロールショウのステージで、着ぐるみの中から登場した清志郎さんは、ギターを持って突然『Pipeline 』を弾き始めた。
後から聞いた話では、その日、野音の楽屋に、ジョニーと友達だった鳥井賀句さんが現れ、その場で皆にジョニーが死んだという一報を伝えたのだという。
清志郎さんの『Pipeline 』は、あの世に旅立ったジョニーへのはなむけだったのかも知れない。

鳥井賀句さんはジョニーが亡くなる前に「今度日本に来た時にアコースティックのアルバムを作りたい」と言っていた彼からある音源を預かっていたという。
ジョニーの死後、彼の意志を引き継ぎ、賀句さんによって世に出されたのが、LAST LIVE IN JAPAN の『ACT .1』『ACT .2』『HURT ME MORE 』の3枚である。賀句さんは、そのアルバムの収益を全てジョニーの家族に送っている。

《魂の一曲》
ジョニーの魂の一曲は、やはりこの曲…
『Born to lose 』
「失うために生まれて来た」というこの曲は、正にジョニー自身のイメージそのものだった。
ジョニーの夢は、ギターにキース・リチャーズを、ベースにロニー・ウッドを従えて、唄うことだったという。まだまだ二人は元気だが、二人が天国へ行ったら、是非あの世で『Born to lose 』を三人で演奏して、ジョニーに夢を叶えてもらいたいと思う。

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